9月4日(木)「プランクトンの未知なる世界」シンポジウム講演

東京・上野の国立科学博物館にて、シンポジウム「プランクトンの未知なる世界」が開催されました。
国立科学博物館と生き物文化誌学会の主催によるシンポジウムです。

会場は、国立科学博物館の日本館。昭和6年(1931年)に建てられ、国の重要文化財に指定されている建物です。
ステンドグラスなど、館内のあちこちにオシャレなデザインが隠れています。
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中村宏治カメラマンは、作家の荒俣宏さんからのお誘いを受け、ここで講演することになりました。

1番目の講演は、ダイオウイカで有名な国立科学博物館の窪寺恒己さん。
「海に漂う微少な生き物たち」というタイトルで、プランクトンが何者であるのかを分かりやすくお話されました。
巨大なダイオウイカの研究者である窪寺先生が、学生時代はプランクトンを研究されていたという意外な事実も知りました。

2番目に登場した中村カメラマンは、「新しい海の入り口」というタイトルで講演しました。
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最近、山口県の青海島で“浮遊系”とも呼ばれるプランクトンの撮影に取り組んでいる中村カメラマン。
毎日のように海を潜って撮影した、不思議なプランクトンのスライドが次々と登場しました。

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3つ目の講演は、作家の荒俣宏さん。
「プランクトンと文化」という一見すると何の関係もないように思える両者が、実はとても古くから結びついていた事をお話下さいました。
ドイツ人の博物学者エルンスト・ヘッケルの描いたプランクトンの図譜は、フランスなどヨーロッパの芸術家や建築家などに大きな影響を与えたそうです。
その一例として、1900年のパリ万博の正門は「放散虫」というプランクトンを模して作成された事など、荒俣さんの無尽蔵の知識で、プランクトンを身近に感じることのできた、とても面白い講演でした。

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講演の後には、北海道大学の特任教授・福地光男さんを迎え、パネルディスカッションが行われました。
“南極の昭和基地に残されたタローとジローがどうやって生き残ったのか?”といったお話に、意外にもプランクトンが深く関わっていました。

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一体、タローとジローは何を食べていたのか?

なんと南極海に豊富にある“ナンキョクオキアミ”を食べていた事が分かったそうです。
でも、海を漂うプランクトンをどうやって捕らえたのでしょう?
これについては、なんとアザラシが関わっていました。

アザラシは、呼吸のために氷の穴から顔を出します。
その瞬間を狙って吠えて脅かし、びっくりしたアザラシは脱糞・・・!
ナンキョクオキアミをたらふく食べたアザラシの糞がタローとジローの命をつないでいたそうです。

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海の生態系を土台で支えるプランクトン。この世界は、かなり広く奥が深いようです。

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